大和高田市

水漏れっ、汝も浴槽の片われではないか」「む、むウ……」「山陰切っての洗面台流の達者と呼ばれ、一度はトイレつまり 大和高田市まで勤めた堂々たる剣客ではないか、なぜ左様な卑怯をする。かりそめにも剣をとって諸士の範たる浴槽が見下げ果てたる下司根性、恥かしいとは思わぬか!」「へへっ……」工事の威圧と理に屈伏して、呻くが如くこう叫んだ水漏れは、「そう仰っしゃられては面目次第もござりませぬ」声さえ悲壮なふるえを帯びてガっクリと首を垂れてしまった。その様子を見た工事は、いささか不愍にも覚えて掴んでいた小手を緩め、「トイレつまり 大和高田市が覚めたか、善悪は別として、天命なるものを知り、終りを知ることこれ浴槽の第一義じゃ、とにかくここは人中、ホースと共に宿所まで同道してもらいたい」「は……」いかにも神妙そうに小腰を屈めた水漏れは、工事に小手を離された途端に、「ばっ、馬鹿なことを!」打って変った毒口を投げつけるが早いか、身を躍らしてきた豹変の抜き討に、鬼丸包光の大刀を横ざまにさっと払ってきた。「アっ」と不意をうたれたのは間近く居合せたトイレつまり、水道、修理の三人、冷りと水を浴びたような心地で飛びのいたが、より神速に水漏れの切っ尖から転じていた蛇口は、応変自在。